相模台小で「黒板ジャック」

学生が「卒業」テーマにサプライズプレゼント

「黒板ジャックin相模台小学校」が11日と12日、相模台小学校で行われた。

6年3組で絵についての解説をする千葉大の松平桃さん(左)と清水愛菜さんの写真▲6年3組で絵についての解説をする千葉大の松平桃さん(左)と清水愛菜さん

このプロジェクトは、松戸駅周辺の13の町会や自治会で組織しているまちづくり団体「まちづくり会議」の芸術家招聘(しょうへい)事業「PARADAISE AIR」の活動の一環として実施されたもの。「黒板ジャック」は、武蔵野美術大学の学生が小中高校に出向き、美術を通して子どもたちと交流する「旅するムサビ」の活動のひとつとして2011年から実施されているもの。今回は武蔵野美術大学のほか、千葉大学、聖徳大学の学生と市内の主婦も参加して、11人で行われた。

 

 

6年1組の黒板の写真▲6年1組 6年2組の黒板の写真▲6年2組 6年4組の黒板の写真▲6年4組 なのはな学級の黒板の写真▲なのはな学級

学生たちは子どもたちに知られないように、11日の建国記念の日に8時間かけて黒板にチョークで絵を描き上げた。絵は翌朝子どもたちが鑑賞したあと、始業前に消すのがルールとされている。

 

 

絵が描かれたのは6年生の4教室と特別支援学級(なのはな学級)、会食室。卒業を控える6年生のために「卒業」をテーマに描いた。1組は吉野祥穂子さん(武蔵野美術大)が短距離走のスタートダッシュの絵を描いた。2組は小川萌子さん(同)が、6年間使ったランドセルを描いた。3組は松平桃さん(千葉大大学院)、清水愛菜さん(同)の2人、4組は片山瞳さん、渡辺あてなさん、風見真里さん、安田祥穂さんの聖徳大生4人、なのはな学級は中坂綾香さん、細谷知代さんの聖徳大生2人、会食室は三丁目西町会の主婦、石井仁美さんが担当した。紙に絵の具で描くのとは勝手が違い、チョークは色が乗りにくかったり、黒板の暗い緑色に色を乗せる感覚に最初とまどったりしたという。翌日に子どもたちがどんな表情を見せてくれるか楽しみにしながら作品を仕上げた。

翌日の朝、各教室では担当者が作品の説明を子どもたちにして、感想などを聞いた。

 

3組を担当した松平さんと清水さんは、編み物をする大きな手を黒板いっぱいに描いた。二人とも大学院で同じゼミに所属し、美術教育の研究をしている。子どもたちとも楽しそうにコミュニケーションしていた。

 

6年2組で絵の解説をする武蔵野美術大学の小川萌子さんの写真▲6年2組で絵の解説をする武蔵野美術大学の小川萌子さん

清水さんは、「みなさん、もうすぐ卒業ですね。卒業というのはそこで終わりではなく、次に中学生になるとか、どんどんステップアップしてゆくものです。今まで6年間経験したことが積み重なってこれから生きていく道につながっていきます。編み物がつながって広がってゆくところと重ね合わせて卒業というテーマに選びました。私は大学院1年生で小学校卒業から何年も経っていますが、今まで悔しい経験とか楽しい経験をいっぱいしてきました。それが全部ムダにならずに今につながっています。みなさんもひとつひとつの経験をかみしめて、大事にしながら、これからもがんばってほしいなと、応援しています。そういう思いで描かせてもらいました」と話した。

 

「黒板ジャック」に参加した学生らの写真▲「黒板ジャック」に参加した学生ら

松平さんは「絵を描くのが好きで、子どものころからずっと続けてきました。こういうふうに描けるようになったのも、小さい頃から少しずつ練習してきたからだと思っています。それも苦しくではなくて、いつも楽しみながら続けることができました。黒板にも楽しく描かせてもらいました。みんなも好きなことがあったら続けてほしいなと思うし、その気持ちを忘れずに編み物みたいに積み重ねていってほしいなと思います」と話した。

絵はすぐには消されず、他の学年の子どもたちも順番に見学に訪れ、各教室の絵を興味深そうに見て回った。

清水さんは「消されるところを見たい。子どもたちがどんな表情をするのか興味があります。この絵は消されるのも含めて作品だと思う」と話し、松平さんとともに最後まで見守った。