松戸駅周辺に再開発計画

市が「基本構想素案」作成 11月5日に説明会

 松戸市が「松戸駅周辺まちづくり基本構想」の行政素案を作成。市民への周知を目的に11月5日午後7時から8時30分まで、松戸市民劇場ホールで説明会を行う。

ゾーンマップ

 定員は先着300人。市は学識経験者、関係団体・機関、市職員15人による「松戸駅周辺まちづくり委員会」を発足させ、7月25日に第1回の委員会が開催された。この委員会や地元組織・市民、議会の意見を聞きながら「素案」を「案」に、そして「基本構想」へと仕上げていく予定。正式なパブリックコメントの公募も後に予定されているが、現在、11月10日までの期限で意見を募集している。素案は松戸駅周辺を5つのゾーンに分けて再開発するというもので、地域住民の合意を得られるかなど課題も多そうだが、市では平成31年度までに松戸駅の改良工事が行われるこの機会をとらえて、駅周辺の整備を行いたい意向のようだ。なお、意見提出方法、素案の詳しい内容については市のホームページに記載がある。

松戸駅周辺をゾーン分け

 松戸駅周辺地域は、江戸時代には水戸街道の宿場町として、また江戸川の水運によって栄えた。明治に入ってからも東葛飾地域の政治、商業の中心地であった。戦後は東京の衛星都市として発展。都市化が急激に進み、人口も急増した。また、松戸駅周辺も商業都市として多くの人々で賑わった。しかし、近年は近隣市に大型商業施設が出店するなどして、同地域の商業・業務面で活力が低下している。このような背景から、市では「様々な課題を克服し、街の魅力を高めることで、人を呼び込み、活気や賑わいを取り戻していくことが求められる」として、「松戸駅周辺まちづくり基本構想素案」を作成したという。

 素案では、同地域の特性を分析した結果、5つのゾーンに分けて開発する。

 「新拠点ゾーン」は、松戸駅東口の相模台台地上の地域。大規模開発の可能性を秘めた駅近傍に残る唯一の地区として、官民一体となって大規模な開発を行う。賑わいあふれる施設や市民サービス機能を充実。公園と調和のとれた松戸のランドマークとなる複合施設(商業・アミューズメント・子育て・教育・公共公益施設などを配置)をつくる。松戸中央公園を再整備。また、東口デッキ、駅から台地まで、国道6号線までのアクセスルートの整備を行う。

 「商業・業務ゾーン」は古くからの交通、商業、業務の中心地で駅の東口、西口に渡る地域。交通結節点機能の強化により利便性を向上。商業・業務施設の集積や景観形成を図り、まちとしての魅力を向上する。市街地再開発事業等を促進、一般車両の通行を制限した歩行者空間の段階的な導入、優良建築物等整備事業などの活用、商業施設の立地誘導をし、空き店舗対策などを行い「歩いて買い物が楽しめる快適できれいなまち」を目指す。

 「都心居住ゾーン」は都内へのアクセスが良好な松戸駅の徒歩圏にあり、住環境として好立地だが、駐車場等の低・未利用地があるなど全体的な高度利用が図られていない地域。都市基盤の改善や都心にふさわしい住宅供給の促進により、防災性の向上や土地の高度利用を進め、居住人口を増加させる。区画整理等の手法を活用し、街区整備を行う。街区整備の一環として公園や緑地等を創出する。また、旧水戸街道(都市計画道路3・5・28号)の拡張整備・バリアフリー化、低炭素型のまちづくりのため、省エネ住宅等の促進などを行う。

 「シンボル軸」は、相模台から松戸駅を経て江戸川へと向かうシンボル軸道路をつくる。県道松戸停車場線(都市計画道路3・6・33号)を再整備。緑化や案内板を設置。周辺建物の壁面位置後退を誘導し、休憩施設を設置するなどして、快適な歩行者空間を創出する。坂川から江戸川までの部分をバリアフリー化。長期的には電線類地中化と道路拡幅を目指す。また、江戸川対岸へのアクセス向上と防災性の向上を図るため、江戸川に人道橋を整備する。ほかに、駅前デッキを整備し、周辺建物への接続や延伸、新たな東西自由通路を整備する。

 「水・歴史資源」は、江戸川、坂川などの水辺資源や旧水戸街道沿いの寺社・歴史的建造物、戸定邸などの歴史資源がある地域。江戸川河川敷に自然を尊重した広場や坂川沿いに親水広場をつくる。坂川沿いに散策路を整備し、散策路と調和した町並みを形成。寺社や古民家などを交流・観光スポットとして育成する。相模台公園の機能移転を行い、戸定邸と一体となった公園を整備する。松戸駅と「矢切の渡し」を結ぶ水陸両用バスを運行。あわせて矢切に観光拠点を整備する。