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- カテゴリ: 日曜日に観たいこの一本バックナンバー
- 2014年9月28日(日曜)09:00に公開
- 作者: 戸田 照朗
日曜日に観たいこの一本
ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅
「モンタナ州のウディ・グラント様、我々は貴殿に100万ドルをお支払い致します」。
雑誌を売るために送られたインチキな手紙。アメリカにはこんな手法があるのか、私にはよく分からないが、劇中では「古典的な手法」ということになっている。とにかく、そのインチキな手紙をすっかり信じてしまったウディは、ネブラスカまで歩いてでも賞金を取りに行くと言ってきかず、きょうも高速をトボトボと歩いているところを警察に保護された。
大酒飲みで頑固なウディとは距離を置く次男のデイビッドだったが、そんな父親を見兼ね、骨折り損だと分かりながらもウディを車に乗せて、4州にわたる旅へ出る。後に残るのは口うるさい母親の罵声のみ。
途中に立ち寄ったウディの故郷で、デイビッドは思いもよらなかった両親の若き日を知ることになる。
全体的にはコメディタッチで描かれているのでオブラートに包まれているが、ウディはおそらく痴呆症が始まっているのだろう。そして、ウディが大金を手にすると思い込んで態度が豹変する親戚たちや故郷の人たち…。口汚くウディを罵る母親など、前半は真正面から見れば気持ちが重くなるような場面が多い。
ディビッドには地方局でニュースキャスターをしている兄がいる。4人家族はウディとディビッドの旅に付き合わされる形で、ウディの故郷で集まることになる。そこで、垣間見える家族の絆。いろいろあったけど、4人で歩いてきたという確かな思い。あの口うるさい母でさえ、優しい目をしている。
私の家族と構成が同じ。夏にすっかり小さくなってしまった両親に会ってきたので、なんだか身につまされる思いがした。
それにしても次男のディビッドの優しいこと。最後に見せる粋な計らいに、ぐっときて、後味はスッキリとしたものとなった。
監督=アレクサンダー・ペイン/出演=ブルース・ダーン、ウィル・フォーテ、ジェーン・スキップ、ボブ・オデンカーク、ステイシー・キーチ/2013年、アメリカ
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「ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅DVD」、DVD発売中、税別3800円、発売・販売元=東宝