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- カテゴリ: 第808号(2016年12月11日発行)
- 2016年12月11日(日曜)09:00に公開
- 作者: 戸田 照朗
松戸この1年を語る
記者が見た、聞いた2016年
あと3週間ほどで2016年も終わり。今年はどんな年だったのか。1年を振り返ります。
表にはないが、松戸よみうりが今年取り上げたニュースから印象に残るものをいくつか振り返りたい。
昨年の調査によると市内の小中学校の組体操で64人がケガをしており、松戸市ではガイドラインができるまで中止となった。近隣市でも学校での組体操を禁止するという対応をとる自治体が相次いだ。
7月に新松戸に「子ども食堂」がオープンした。自身も子育て中のママさんがボランティアで始めた活動で、まだ月に1度程度しか開く力がない、と話していた。メディアからは「子どもの貧困」という側面から報道されることも多い活動だが、主催されている方は、むしろ、子どもの孤食をなくしたい、地域の高齢者とも触れ合える場所をつくりたい、という思いが強いようだった。市内には他にも何か所かで「子ども食堂」が開かれている。
9月には松戸市の「地域猫活動」を取り上げた。地域の飼い主のいない猫を捕獲して避妊去勢手術を施し、これ以上地域で猫が増えないようにし、その猫一代だけの命を全うさせる。猫の手術費用の一部を市が助成する。地域猫の餌やりやトイレなどの世話を地域、または個人が行う、という活動だ。
猫が嫌いだからといって殺したり虐待をしたりすれば、動物愛護法違反で、2年以下の懲役か200万円以下の罰金。一方で、野良猫への餌やりや糞尿で困っている方もいるだろう。地域猫活動は、猫好きと猫嫌いが対立するのではなく、お互いに少しずつ譲り合って、猫たちと共生してゆく、という活動だ。
野良猫の平均寿命は3~5年と言われている。新たに捨てる人がいなければ、いずれ野良猫はいなくなる。
環境省の統計によると26年度に全国で殺処分された犬猫は10万1338頭。うち犬が2万1593頭。猫が7万9745頭。
昭和49年度には全国で125万頭の犬猫が保健所に引き取られたことを考えれば、大幅に少なくなった。長年にわたる愛護団体の努力もさることながら、犬猫を「家族」と考える家庭が増えるなど、犬猫をとりまく環境も変化し、「殺処分ゼロ」を目標に掲げる自治体も出てきた。
表2(クリック)は松戸市総合政策部広報広聴課が選んだ「松戸市の重大ニュース」である。仕事柄、松戸市の広報的な意味合いも入っている内容だと思って見ていただきたい。
琴奨菊関の優勝パレードは、本当に人出がすごかった。過去には同部屋だった琴欧洲関のパレードが計画されたが悪天候のためにオープンカーを使うことができなかった。宇宙飛行士の山崎直子さんもパレードを行ったが、ここまでの人出ではなかったように記憶している。お相撲さんはやはり人気があるのか、それとも「日本出身力士」(外国人力士で帰化した人も「日本人」なので、「出身」をつけるという)だからなのか。後者であるとするならば、私はこういう区別はあまり好きではない。
3面にも記事を載せたが、松戸市も待機児童を減らすために努力をしているようだ。近隣の市もそうなのだが、「子育てしやすい町」として、都内でもピーアールしている。人口減少社会に向けての対策だと思う。
ほかには、東京オリンピックに向けてのキャンプ地誘致の話が多い。リオ五輪で7人制女子ラグビーに出場した横尾千里選手と大黒田裕芽選手は、松戸少年ラグビースクールの出身。何年か前に同スクールを取材したことがある。元山の自衛隊駐屯地の中にあるラグビー場で練習していて、その時に関係者から「女子で頑張っている選手もいるんですよ」と聞いた。彼女たちのことだったのだろう。
全国のニュースでは、個人的には、熊本地震が一番印象に残った。大分県竹田市という熊本との県境が近い町が田舎なので、熊本で働いている友人の安否が気になった。また、地元の大分県でも湯布院や別府などの有名な温泉街で被害が大きかった。
選挙権が18歳まで引き下げられて初めて実施された、夏の参議院選挙ではまたも与党が大勝。「改憲勢力が3分の2を超えた」という。しかし、公明党は改憲勢力と言っていいのかわからないし、民進党など野党議員の中にも改憲派はいる。改憲の是非とは別に、今回の選挙を経ずとも、ある意味で改憲勢力は以前から多数を占めていたという話もある。
原発の再稼働や年金制度の改正、TPPの批准や、カジノ法案など、賛否が分かれる大問題でも、与党が数の力で、ろくに審議もせずにどんどん押し進めているように見える。カジノ法案に至っては、わずか6時間の審議で衆院で可決されたという。与党支持の人でも、少々急ぎすぎなのでは、という疑問を持つだろう。
蜷川幸雄さんが5月12日に、7月7日に永六輔さん、12日に大橋巨泉さん、31日に九重親方(千代の富士)が亡くなった。昭和という時代がまたひとつ遠くなった感じがする。
永さんはラジオ番組でよく平和と憲法について話していた。松戸市の憲法記念日の集いで講演したこともある。壇上から、記者席に座っている私に「こんな前に座らせるからマスコミは勘違いするんだよ」といきなり言われ、少々ムッとした経験も今は懐かしい。巨泉さんも永さんの番組で政治や社会について語っていた。お二人の命日はわずか5日違い。今頃空の上で、日本の行く末を心配されているかもしれない。
ラグビーファンとしては、平尾誠二さんが10月20日に53歳の若さで亡くなられたことが残念でならない。
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読者が選んだ重大ニュース
今年の重大ニュースとして、内外の注目された選挙での選択結果を挙げたい。
東京都知事選では、小池氏が自民党などの政党公認候補を破り当選した。
緑をシンボルカラーとして遊説し、女性を中心に支持を得たが、知事に就任してから「都民ファースト」の公約に沿って、築地市場の豊洲への移転や東京五輪会場問題について追及している姿は信頼でき、良い選択だったと思う。
一方、アメリカの次期大統領に決まったトランプ氏は大方の予想を裏切って当選したが、その発言が型破りである上に最近この発言内容を打ち消す発言もし、信頼性で疑問が残る。「強いアメリカの復活」を掲げ職場を失った労働者など一部の支持を得たが、良い選択だっただろうか。二つの選挙はそれぞれ国民の大きな関心を呼び、選挙結果の意外性も含め印象に残った選択だったと思う。
(蓑輪正義さん・77)