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- カテゴリ: 第808号(2016年12月11日発行)
- 2016年12月11日(日曜)09:00に公開
- 作者: 松戸よみうり
お正月にお墓参りをする意味とは
最近のお墓事情
昨年の日本人の死亡者数(推計)は130万2000人。出生数(同)は100万8000人だった。死亡者数は2035年までは増え続け、その後減少に転じると推測されている。
昨年の東京都都政モニターアンケートによると、「墓地を持っておらず、必要だと思っている」と答えた人の割合は36・3%。「墓地を持っていないが、今後も必要だと思わない」と答えた人の割合は34・6%。「分からない」と答えた人の割合は29・1%だった。10年前の2005年は、「墓地を持っておらず、必要だと思っている」と答えた人の割合は60・8%。「墓地を持っていないが、今後も必要だと思わない」と答えた人の割合は28・1%。「分からない」と答えた人の割合は11・1%だった。墓地を持つ必要性を感じない人が増えているように見える。
今年度の都営八柱霊園の墓地の募集では、合葬墓地が2000で一般墓地は320だった。少子化などの理由で、将来お墓を管理する人がいなくなるという不安から、改葬して、一般墓地から合葬墓地に遺骨を移す例もあるという。まだまだ、墓地の主流は墓石のある一般墓地だが、最近は、樹林墓地や樹木墓地など墓地の形体も多様化。海に散骨(遺灰)するという人もいる。お墓を簡素化したり、墓じまい(※)する人も急増している。
このような最近の傾向に、都立八柱霊園前で、㈱はぎの家石材店を営む萩元美明さんは、「お墓の本当の意味が理解されていないのではないか。お墓の簡素化は日本人が大切にしてきた祖先崇拝というものを失うことになる。墓じまいについては、将来が不安というだけで今すぐにするべきではない人まで安易に行い過ぎる」と危惧する。「お墓は亡くなった故人のためのものだけではなく、家族や友人、知人のためのものでもある。海にまいてしまえば、お参りをしても故人を感じられないという人が多い。お墓は納骨をするだけの場所ではありません。お墓は、その家族にとって様々な意味を持つもの。お正月やお彼岸に、家族が集まり、花を供え、掃除をして、子どもたちと先祖の話をすることで、先祖から受け継がれてきた命の大切さや家族の絆を学ぶこともできます。また、現代を生きる私たちのことを考えるいい機会にもなります。刻まれている先祖のことを両親や祖父母から聞くことは大切なことです。お墓参りは子どもの情操教育となる大事な機会です」と話していた。
※「墓じまい」とは、お墓を移転して建てる(改葬)ための1つのプロセスで、お骨を取り出した後に元のお墓を撤去し更地に戻すことをいう。