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- カテゴリ: 日曜日に観たいこの一本バックナンバー
- 2013年12月22日(日曜)09:00に公開
- 作者: 戸田 照朗
日曜日に観たいこの一本
メンタリスト〈フォース・シーズン〉
アメリカのテレビシリーズ。レンタルビデオ店には現在フォース(第4)・シーズンが並んでいる。
パトリック・ジェーンは人並み外れた観察眼と洞察力を買われて、CBI(カルフォルニア州捜査局)の捜査にコンサルタントとして協力している。人のちょっとした仕草を見ただけで相手の心理を洞察できる。ポーカーをやらせたら絶対に負けないタイプ。それだけではなく、手先も器用でマジックからスリまでこなす。催眠術にも精通。
ジェーンはもともと自分の能力を使って、詐欺やペテンまがいのことをして生活していた。霊能者のフリをして有名になり、テレビに出演していたこともある。
しかしある時、彼の人生を一変させる事件が起きた。テレビに出演したジェーンは連続殺人犯レッド・ジョンを挑発してしまう。そして、帰宅した彼を待っていたのは、愛する妻と一人娘の変わり果てた姿だった。
傲慢な態度と、自らの力への過信が生んだ悲劇。悔やんでも悔やみきれない深い後悔。ジェーンがCBIに協力するのは、レッド・ジョンへの復讐が真の目的だ(たぶん)。レッド・ジョンはいわゆるサイコパス。生まれつき良心というものがなく、犯罪をゲームのように楽しむ。信奉者も多く、どこに協力者が潜んでいるかも分からない。決して油断できない相手だ。
長く続くテレビシリーズの多くがそうであるように、レッド・ジョンの捜査がシリーズを通しての大きな柱で、そのほかの事件も1話完結で解決してゆく。
ジェーンは初対面の相手でも不躾な質問をし、相手を苛立たせ、本音を引き出す。時にイヤミなことを言い、決して付き合いやすい相手とは言えないかもしれない。こういったキャラクターはサスペンスには意外に多い気がする。イギリスの連続ドラマ「SHERLOCK」に登場する現代のシャーロック・ホームズはジェーンよりもっと、強烈にイヤミだし、「相棒」の右京さんもソフトだがよく相手をイライラさせ、怒らせている。
そういえば、コロンボもよくのんびりした質問を繰り返して相手をイライラさせていた。画面をよく見ていないと、大切なところを見逃すという物語の緻密さ、面白さはいい意味で、コロンボによく似ている。
しかし、実は仲間には優しい良いヤツだということも共通している(そうじゃないと、共感できないから)。
ジェーンが所属しているのは、テレサ・リズボン(女性)をボスに、キンブル・チョウ(韓国系・男性)、ウェイン・リグスビー(男性)、グレース・ヴァンペルト(女性)という4人のチーム。シリーズを追うごとに、人間関係も深まり、それぞれがいい味を出している。ヒットしたシリーズに出てくる女性陣は、当初より明らかに綺麗になっていくから不思議だ。人気と自信がそうさせるのだろうか。
ドラマはサード(第3)・シーズンの終盤に大きな山を迎えた。ジェーンと仲間たちが今後どうなっていくのか、フォース・シーズンを楽しみに見ていきたい。
監督=ブルーノ・ヘラー、クリス・ロング/出演=サイモン・ベイカー、ロビン・タニー、ティム・カン、オーウェン・イマオン、アマンダ・リゲッティ
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「THE MENTALIST/メンタリスト〈フォース・シーズン〉」DVDコンプリート・ボックス、税込15000円、ワーナー・ホーム・ビデオ