宇宙戦艦ヤマト2199:DVDジャケットの写真

日曜日に観たいこの一本

宇宙戦艦ヤマト2199

 「宇宙戦艦ヤマト2199」全26 話が完結。最終巻となる第7巻が発売されている。

 この作品は2012年4月から「イベント上映」という形で第一章(第1話~2話)の上映が始まり、今年の4月からはテレビの地上波でも放送が始まった。

 1974年にテレビ放送された「宇宙戦艦ヤマト」がその後のアニメ作品に与えた影響というのは周知のことと思う。一大ブームとなり、今のジャパニメーション隆盛の契機となった作品だ。

 「宇宙戦艦ヤマト2199」はリメイクということで、ストーリーは基本的に同じなのだが、深みが増している。一縷(る)の希望を抱いて旅立ったヤマトだが、乗員の気持ちが一つになりきれず、反乱が起きる。一方、ガミラスの国内にも様々な矛盾が見えてくる。軍部の中にある強烈な人種差別。ガミラスは侵略し、帝国の一部とした惑星の住民を軍に入れ、前線に送り込んでいる。しかし、彼らはどんなに活躍しようとも、軍の上層部からは劣等民族として蔑まれているのだ。派手な戦闘シーンの影で、やはり戦争は虚しいと思う。旧作でも戦争の虚しさは描かれていたが、今作ではその部分がより鮮明になったように思う。

 その戦闘シーンだが、これは今の技術を駆使して、実に見事に描かれている。

 

宇宙戦艦ヤマト2199の写真

 旧作を見て初めて「相対性理論」や「ワームホール」など宇宙物理学の言葉に触れた人も多いと思う。そういえば、宇宙飛行士の山崎直子さんも「ヤマト」を見て宇宙に興味を持つようになったと言っていた。数光年離れた時点で地球を見ると、まだガミラスに侵略される前の美しい地球がモニターに映し出される。私たちが眺める夜空は全て過去の風景だ。数万光年のかなたから地球に届いた星の光は数万年前に発せられたものだ。現時点でその星が存在するかどうかは分からない。そんな宇宙物理学の部分も最新の知識を取り入れている。

 もう一つ嬉しかったのが、音楽だ。主題歌や劇中の音楽も旧作を踏襲している。劇中の音楽というのは実に大切だと思う。ヒットした作品というのは、必ずと言っていいほど音楽がいい。たまにリメイクものやテレビ版を劇場版に作り替えた時に音楽を変えてしまう作品があるが、正直言ってがっかりしてしまう。

 ささきいさおさんが歌う主題歌「宇宙戦艦ヤマト」もアレンジが違うものがいくつか作られており、楽しめる。また、エンディングテーマは「真赤なスカーフ」を始め、いくつかの新曲が採用されていた。

 原作=西﨑義展/総監督・シリーズ構成=出渕裕/キャラクターデザイン=結城信輝

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「宇宙戦艦ヤマト2199」、ブルーレイ・DVD全7巻発売中/販売元=バンダイビジュアル