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- カテゴリ: 日曜日に観たいこの一本バックナンバー
- 2014年5月25日(日曜)09:00に公開
- 作者: 戸田 照朗
日曜日に観たいこの一本
そして父になる
6年間育てた息子は出生時に取り違えられた他人の子どもだった…。福山雅治演じる主人公・野々宮良多は大手建設会社に勤務し、都心の高層マンションに妻のみどり(尾野真千子)と一人息子の3人で暮らしている。そんな良多に病院から連絡が来る。
取り違えられた相手方の斎木夫妻(リリー・フランキーと真木よう子)は田舎町で電気店を営んでいる。息子を筆頭に3人の子どもがいる。
こういった場合、なるべく子どもが小さいうちに交換したほうがいい、という病院側のアドバイスもあって、最初は週末だけということで、子どもの交換が試験的に始まる。
本当に対照的な環境にある両家。でも、二人の母親は子どもを真ん中に置けば気持ちが通じるところがある。リリー・フランキー演じる斎木家のお父さんも、若干下世話なところがあるが、子どもとの遊び方が上手でいい感じである。一番問題なのが、良多だ。社会的地位で相手を見がちで、どこか斎木家を見下している。
どっちの家で暮らす方が子どもにとっては幸せなのだろう。野々宮家で育てば、いい学校には行けるだろうが、窮屈そうだ。斎木家で育てば、貧しいながらも楽しく伸び伸びと育ちそう。
それぞれの登場人物について、今どんな気持ちなのだろう、と考えてしまった。それぞれ別の家に預けられた子どもたちの気持ちは。二人の母親は。斎木父と良多は。
良多は嫌なところがある男だけど、悪い父親ではないと思う。みんながみんな斎木父のように子どもとの付き合いがうまいわけではない。良多の行動には子ども(特に育ての息子)に対する愛情を感じるし、子どもとの接し方が少し不器用なのは、良多自身の育った環境にも起因していると思う。
自分の親との関係や、子どもの有無など、見る人によって感じ方は様々だと思う。血のつながりってなんだろう、とか、いろいろと考えさせられた。
監督・脚本・編集=是枝裕和/出演=福山雅治、尾野真千子、リリー・フランキー、真木よう子/2013年、日本
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『そして父になる』4月23日㈬、ブルーレイ&DVD発売。スタンダード・エディション〈1枚組〉 DVD3800円 (税別)、ブルーレイ4800円(税別)、発売元=フジテレビジョン、販売元=アミューズソフト