シン・ゴジラ:DVDジャケットの写真

日曜日に観たいこの一本

シン・ゴジラ

昨年公開されたゴジラ映画の最新作である。

「ゴジラ」という「自然災害」の話のように感じる。とにかく恐い、といった感想を聞いていた。阪神淡路大震災と東日本大震災、そして昨年の熊本地震を経ての感想だと思う。しかし、今回初めて見て、「有事」の話でもあるように感じた。それは、朝鮮半島をめぐり、いまだかつてないほどのきな臭さを感じている今だからだろう。

パニック映画によくありがちなのは、政府関係者とその家族を描くもの。政府の対応を見せつつ、政府に協力を依頼された科学者などの妻子の安否を挟んで、見る者をハラハラさせるという手法だ。しかし、今回の映画では、政府の対応だけを見せている。予期せぬ未曾有の災害、あるいは、有事の際、日本政府はどうするか、ということである。

アメリカが北朝鮮を攻撃した場合、全面戦争になる可能性が高い。その場合、一番大きな被害が出るのは日本と韓国だろう。大陸間弾道弾が実験段階にある現段階では、アメリカ本土が直接攻撃を受けることはないだろう。だからといって、アメリカ政府には軽はずみな決断をしてほしくない。

実はこの作品でも同じような状況が出てくるのだ。

 

シング・ストリートの写真

ストーリーは、東京湾に突如現れた巨大不明生物が東京に上陸し、街を破壊しながら進んでいくというもの。単純でトンデモな話なのだが、ドキュメンタリータッチでリアリティがある。「エヴァンゲリオン」シリーズの庵野秀明が総監督・脚本を手がけたとのことで、言われてみれば、この巨大不明生物の気持ち悪さは、どこか「エヴァ」に通じるものがある。

また、「ゴジラ」と「核」との関連は切っても切れない背景であり、今回もしっかり描かれている。この辺りも東日本大震災における福島第一原発の事故や、今回の北朝鮮の核開発を想起させる。つまり「ゴジラ」自身が、原子力発電所、あるいは核兵器のように感じられるのだ。「ゴジラ」はあまりに強く、人間には制御できない「怪物」として。

脚本・総監督=庵野秀明/監督・特技監督=樋口真嗣/准監督・特技統括=尾上克郎/出演=長谷川博己、竹野内豊、石原さとみ/2016年、日本

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「シン・ゴジラ」、発売元・販売元=東宝、発売中、価格=ブルーレイ特別版3枚組6800円(税別)、ブルーレイ特別版 4K Ultra HD ブルーレイ同梱4枚組8800円(税別)、ブルーレイ2枚組4800円(税別)、DVD2枚組3800円(税別)